グラフィカルインターフェースはディスプレイ領域を提供するだけです。X サーバを実行すると空の画面が表示されます。このため多くの場合、ユーザ認証画面を表示したり、認証の完了したユーザ向けにグラフィカルデスクトップを開始するためのディスプレイマネージャがインストールされます。現在最も人気のディスプレイマネージャは gdm3 (GNOME ディスプレイマネージャ)、sddm (KDE Plasma 向け)、lightdm (Light Display Manager) の 3 種類です。Falcot Corp の管理者は GNOME デスクトップ環境を使うことに決めたので、必然的にディスプレイマネージャとして gdm3
を選択しました。/etc/gdm3/daemon.conf
設定ファイルには挙動を制御する多くのオプションが書かれています (オプションは /usr/share/gdm/gdm.schemas
スキーマファイルで定義されています)。これに対して、/etc/gdm3/greeter.dconf-defaults
には greeter「セッション」(ログインウィンドウだけでなく、電源管理とアクセシビリティ関連ツールを備えた制限デスクトップ) 用の設定だけが含まれます。エンドユーザ向けの最も有用な設定の一部は GNOME コントロールセンターを使って微調整することが可能という点に注意してください。
それぞれのグラフィカルデスクトップにはウィンドウマネージャが含まれるため、どのデスクトップを選んだかに依存して、そのデスクトップで使えるウィンドウマネージャは制限されます。GNOME は mutter
ウィンドウマネージャを使い、Plasma は kwin
を使い、Xfce (後から説明します) は xfwm
を使います。Unix 哲学に従えば、いかなる場合もユーザは自由に選んだウィンドウマネージャを使うことが可能です。しかし、推奨されたものに従うことで、管理者は各プロジェクトが苦心して行った統一性をうまく利用することが可能です。
しかしながら、古いコンピュータで負荷の大きなグラフィカルデスクトップ環境を実行することは難しいかもしれません。このような場合、より軽量の設定を使うべきです。「軽量」(つまり専有する資源量の少ない) ウィンドウマネージャとして WindowMaker (wmaker パッケージに含まれます)、Afterstep、fvwm、icewm、blackbox、fluxbox、openbox などがあります。これらのウィンドウマネージャを使う場合、システムを適切なウィンドウマネージャが優先されるように設定するべきです。これを行う一般的な方法はコマンド update-alternatives --config x-window-manager
を使う方法です。こうすることで、x-window-manager
が起動する標準のウィンドウマネージャが変更されます。