グラフィカルインターフェースの初期設定は時々扱いにくいことがあります。そして通常、最新のビデオカードは Debian 安定版に提供されている X.org バージョンでは完全に動作しません。
ちょっと思い出していただきたいことがあります。それは X.org はグラフィカルアプリケーションが画面上にウィンドウを表示するために使われるソフトウェアコンポーネントであるということです。X.org にはビデオカードを効率的に使うためのドライバが含まれます。グラフィカルアプリケーションは標準的なインターフェース X11 (Stretch にはバージョン X11R7.7 が含まれます) を通じて X.org の機能を使います。
X.org の現在のバージョンは利用できるハードウェアを自動検出することが可能です。すなわち、ビデオカードとモニタだけでなくキーボードとマウスも検出することが可能です。実際、パッケージが /etc/X11/xorg.conf
設定ファイルを作成する必要がなくなり、現在の X.org はとても使いやすくなっています。
キーボードは現在
/etc/default/keyboard
で設定します。
/etc/default/keyboard
ファイルはテキストコンソールとグラフィカルインターフェースの両方で使われ、
keyboard-configuration パッケージによって取り扱われます。キーボードレイアウトの設定に関する詳細は
第 8.1.2 節「キーボードの設定」をご覧ください。
xserver-xorg-core パッケージには X.org のバージョン 7.x が使う一般的な X サーバが含まれます。このサーバはモジュール式で多くの異なる種類のビデオカードを取り扱う独立したドライバを使います。xserver-xorg をインストールすると、ドライバと少なくとも 1 種類のビデオドライバが確実にインストールされます。
検出されたビデオカードに対応するドライバが利用可能でない場合、X.org は VESA と fbdev ドライバを使うことを試みる点に注意してください。VESA はどこでも動作するはずの一般的なドライバですが、その機能を制限されています (利用できる解像度が少なく、ゲームとデスクトップ視覚効果用のハードウェアアクセラレーションが使えないなどの制限があります)。一方で、fbdev はカーネルのフレームバッファデバイス上で動作します。近年、X サーバの動作には管理者権限が不要になっています (以前は画面を設定するために管理者権限が必要でした)。このため、X サーバのログファイルはユーザのホームディレクトリ ~/.local/share/xorg/Xorg.0.log
に保存されています (これに対して Stretch より前のバージョンでは /var/log/Xorg.0.log
に保存されていました)。このログファイルを参照すれば、今現在使用中のドライバの種類を確認することが可能です。たとえば、以下に示すログの抜粋は intel
ドライバが読み込まれた時に出力されるものです。
(==) Matched intel as autoconfigured driver 0
(==) Matched modesetting as autoconfigured driver 1
(==) Matched vesa as autoconfigured driver 2
(==) Matched fbdev as autoconfigured driver 3
(==) Assigned the driver to the xf86ConfigLayout
(II) LoadModule: "intel"
(II) Loading /usr/lib/xorg/modules/drivers/intel_drv.so