ユーザのホームディレクトリの内容は標準化されていませんが、特筆すべき慣習が存在します。1 つ目は、ユーザのホームディレクトリはチルダ (「~」) で表される場合が多いということです。これを知っておくと役に立ちます。なぜなら、コマンドラインインタプリタは自動的にチルダを正しいディレクトリ (通常 /home/user/
) に置き換えるからです。
伝統的に、アプリケーション設定ファイルはユーザのホームディレクトリの下に直接保存されている場合が多く、設定ファイルの名前は通常ドットで始まります (たとえば、mutt
電子メールクライアントの設定は ~/.muttrc
に保存されます)。通常、ドットで始まるファイル名は表示されない点に注意してください。ls
を使ってドットから始まるファイル名を持つファイルを表示するには、-a
オプションを付けてください。グラフィカルファイルマネージャでこの種の隠しファイルを表示するには、それぞれのアプリケーションの設定を変更してください。
一部のプログラムは 1 つのディレクトリ (たとえば ~/.ssh/
など) に複数の設定ファイルを保存します。また、一部のアプリケーション (Iceweasel ウェブブラウザなど) はダウンロードデータをキャッシュする目的で自分の設定ディレクトリを使います。このため、アプリケーション設定ディレクトリによって大量のディスク領域が消費される可能性があります。
これらの設定ファイルはユーザのホームディレクトリ直下に保存され、まとめてドットファイルと呼ばれており、増え続けることでユーザのホームディレクトリを散らかす原因となっています。幸いなことに、FreeDesktop.org の傘下で行われた努力により「XDG 基本ディレクトリ仕様」が生まれました。これは設定ファイルと設定ディレクトリを一掃することを目的とする仕様です。XDG 基本ディレクトリ仕様によれば、設定ファイルは ~/.config
に、キャッシュファイルは ~/.cache
に、アプリケーションデータファイルは ~/.local
(およびそのサブディレクトリ) に保存すると決められています。XDG 基本ディレクトリ仕様はゆっくりと勢いを増しつつあり、一部のアプリケーション (特にグラフィカルアプリケーション) はこの仕様に従うようになっています。
通常グラフィカルデスクトップは ~/デスクトップ/
ディレクトリ (日本語で設定されていないシステムの場合、適切に翻訳された名前のディレクトリ) の内容をデスクトップ (つまり、すべてのアプリケーションを閉じるかアイコン化した時の画面) に表示します。
最後に、電子メールシステムは受信した電子メールを ~/Mail/
ディレクトリに保存する場合があります。