nmap ツール (同名のパッケージに含まれます) を使うことで、あるネットワークに接続されたマシンにログインすることなしにそのマシンがホストするインターネットサービスを素早く特定できます。これを行うには、調査対象と同じネットワークに接続されている別のマシンで以下のコマンドを実行するだけです。
$nmap mirwizStarting Nmap 7.40 ( https://nmap.org ) at 2017-06-06 21:41 JST Nmap scan report for mirwiz (192.168.1.104) Host is up (0.00062s latency). Not shown: 992 closed ports PORT STATE SERVICE 22/tcp open ssh 25/tcp open smtp 80/tcp open http 111/tcp open rpcbind 139/tcp open netbios-ssn 445/tcp open microsoft-ds 5666/tcp open nrpe 9999/tcp open abyss Nmap done: 1 IP address (1 host up) scanned in 0.06 seconds
ps auxw コマンドはユーザ名と一緒にすべてのプロセスのリストを表示します。この情報と、ログイン中のユーザのリストを表示する who コマンドの出力を比較することで、バックグラウンドで実行されている不正で無申告のサーバまたはプログラムを特定することが可能です。crontabs (ユーザが定期的に予定している自動実行の一覧表) にはしばしばサーバの果たす役割に関する興味深い情報が含まれています (cron の完全な説明は第 9.7 節「cron と atd を使ったスケジューリングタスク」にあります)。
/etc/ にありますが、場合によっては /usr/local/ のサブディレクトリにあるかもしれません。これはプログラムをパッケージではなくソースコードを使ってインストールした場合です。また、設定ファイルが /opt/ の下にある場合もあります。
/etc/debian_version です。通常 /etc/debian_version にはインストールされた Debian システムのバージョン番号が書かれています (/etc/debian_version は base-files パッケージに含まれます)。バージョン番号が codename/sid となっていた場合、Debian サーバのシステムが開発版ディストリビューション (テスト版か不安定版のどちらか) のパッケージを使って更新されたことを意味しています。
apt-show-versions プログラム (同名の Debian パッケージに含まれます) はインストールされたパッケージのリストを確認して、利用できるバージョンを識別します。apt-show-versions に比べると体系的ではありませんが、aptitude を同様の目的で使うことも可能です。
/etc/apt/sources.list ファイル (と /etc/apt/sources.list.d/ ディレクトリ) をぱっと見ただけで、インストール済みの Debian パッケージの取得元がわかります。ここにたくさんの未知の取得元があった場合、管理者は Debian が提供するソフトウェアとの最適な互換性を確保するために、コンピュータシステムを完全に再インストールするかもしれません。
sources.list ファイルが良い手掛かりとなります。なぜなら大多数の管理者は、少なくともコメントの中で、過去に使っていた APT ソースのリストを残しているからです。しかし、過去に使っていたソースは削除されているかもしれないこと、インターネットから取得されたでたらめなパッケージが手作業で (dpkg コマンドを使って) インストールされているかもしれないこと、を忘れるべきではありません。この場合、マシンは「標準的な」Debian の外観に偽装されている恐れがあります。そのため、外部パッケージの存在を示す兆候を見逃さないようするべきです (通常では考えにくいディレクトリに deb ファイルがあったり、パッケージのバージョン番号のサフィックスに ubuntu や lmde などの特別なものが使われていたら、それは Debian プロジェクト以外で作られたことを意味しています)。
/usr/local/ ディレクトリの内容を分析するのは興味深いです。このディレクトリは手作業でコンパイルおよびインストールされたプログラムを収めるための場所です。手作業でインストールされたソフトウェアをリストアップすることは有益です。なぜなら、そうすることで Debian にもそのソフトウェアに類似するパッケージがあるにも関わらずそれを使っていない理由に疑問を提起できるからです。
表 3.1 オペレーティングシステムとアーキテクチャの照合
| オペレーティングシステム | アーキテクチャ |
|---|---|
| DEC Unix (OSF/1) | alpha、mipsel |
| HP Unix | ia64、hppa |
| IBM AIX | powerpc |
| Irix | mips |
| OS X | amd64、powerpc、i386 |
| z/OS、MVS | s390x、s390 |
| Solaris、SunOS | sparc、i386、m68k |
| Ultrix | mips |
| VMS | alpha |
| Windows 95/98/ME | i386 |
| Windows NT/2000 | i386、alpha、ia64、mipsel |
| Windows XP / Windows Server 2008 | i386、amd64、ia64 |
| Windows RT | armel、armhf、arm64 |
| Windows Vista / Windows 7-8-10 | i386、amd64 |